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さん (8d3louk5)2023/1/12 15:36 (No.667611)削除
カロメル電極では内部溶液のKCl濃度を高くしても大丈夫、という点が長所ではないかと思います。それによって、酸やアルカリのような液間電位差が大きくなりやすい試験溶液に対しても、液間電位差を小さくできます。銀・塩化銀電極では、KClを濃くしたときに銀(I)イオンのクロロ錯体ができて塩化銀が溶けやすくなります。短時間でしたらあまり影響ありませんが、飽和に近いKCl溶液に長時間入れていると塩化銀が溶けてなくなります。その点カロメルは、飽和KCl溶液中でも水銀(I)イオンのクロロ錯体生成による溶解はほぼないと思います。他にもカロメル電極の長所はあるかもしれません。掲示板利用者の皆さん、補足お願いします。
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井上さん (8j3am5hi)2022/11/15 09:16 (No.607615)削除
研究室勉強会で「なぜ昔、参照電極にカロメル電極がよく使われていたのか」という疑問がでました。文献には(https://www.jstage.jst.go.jp/article/kogyobutsurikagaku/48/5/48_278/_pdf)「市販されている
唯一つの基準電極であったことにもよるであろう」とあり、Wikiにも「構造が単純で取扱が容易なので過去には広く使用されていた」とありますが、昔は今ほど水銀の毒性を気にしていなかったにせよ、Ag/AgClより作りやすく、使いやすい点はあまり思い浮かびません。Ag/AgClに対するカロメル電極のアドバンテージについて知見があれば教えていただけないでしょうか。Ag線表面にAgCl析出させる手間がない、ポーラログラム取得のために研究室に水銀が常備されていてAg線より身近だった、くらいしか思いつきません。
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さん (8d3louk5)2022/6/17 10:28 (No.450709)
扶桑製作所のポテンショスタットの調子が悪いので唐津社長さんのところへ修理依頼しようと思ったら、会社のウェブサイトは削除され、電話も「現在使われておりません」でした。ひょっとして会社を辞められたんでしょうか?どなたかご存じでしたら教えてください。
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管理者NNさん (8a0n47ge)2022/3/31 18:54 (No.394040)
以前のBBSサイトのサービス終了に伴い、BBSをこちらに引っ越しました。
以前の投稿は以下にコピペしています。
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管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:53 (No.394038)
2021/11/22 16:06:32
Tatsumi
ポーラロ誌にインパクトファクター?
皆さま討論会お疲れさまでした。オンライン懇親会でMJY先生から、ポーラロ誌にインパクトファクター(IF)を付けるようにできるけれども、どうしようか、という話を聞きました。私個人の考えとしては、IFなんてないほうがポーラロ誌らしい、と思いますが、その一方で、大学の人事や業績評価において、IFの付いてない雑誌に書いた記事は業績としてカウントしない、などといった話も聞きます(けしからん)。せっかく記事を書いても、業績にならないのは困ります。
松田博明先生は、「10年後に評価される論文を書きなさい」とよくおっしゃっていたそうです(人づてに聞いた話なので正確でないかもしれません、KJA先生、間違ってたらご指摘ください)。2年やそこらで注目されるような論文に大した価値はない、ということでしょう。松田先生が生きておられたらIFについて何と言われるだろう。。。皆さんはどう思われますか?
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:52 (No.394037)
2021/05/11 22:12:57
井上久美
Re: 乾電池を直列につなぐと
ものすごくよくわかりました。感動しました。
電極電位をずいぶん誤解していたことに気が付きました。
溶液と電極との間の内部電位の「差」=電極電位 ≠ 電極内部電位
「ここが難しい!」シリーズのネタになると思います!
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:52 (No.394035)
2020/12/24 19:56:23
Tatsumi
乾電池を直列につなぐと
生意気な後輩!から回答させていただきます。

質問1への回答:電極反応が起こると、それに応じて溶液と電極との間に内部電位の「差」が発生します。この「差」を「電極電位」と呼びます。1個の乾電池では、溶液の内部電位が共通で、プラス極の電極電位がマイナス極の電極電位よりも正なので、プラス端子がマイナス端子より正の電位になります。2個を直列につなぐと、電池1のプラス極と電池2のマイナス極の端子の電位は接触により同じになりますが、それぞれで起こる電極反応が異なるので、溶液との電位差(すなわち電極電位)は違います。これにより、電池2の溶液の内部電位が、電池1より正になります。つまり、乾電池の直列つなぎは、溶液の内部電位を段階的に変化させています。(電池1のプラス極と電池2のマイナス極は、バイポーラー電極に似ている、と言えるかもしれません。)

質問2への回答:Ag/AgCl電極は、溶液と電極端子との内部電位の「差」(すなわち電極電位)が一定と見なせる電極です。溶液との「差」が一定なのであって、電極端子の内部電位が常に一定というわけではありません。2本のAg/AgCl電極の端子間に電位差を加えると、それぞれが接する溶液間に、それと同じ電位差が与えられます。

こんな感じでいかがでしょう?「ここが難しい!」シリーズのネタになるでしょうか?
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:52 (No.394034)
2020/12/12 14:46:52
井上久美
乾電池を直列にできるのは
「電気分析化学、ここが難しい!」に学生のふりをして問い合わせをするのが良い内容かもしれませんが、まずはこのBBSに質問します。「そんなこともわからんのかい」と言わるような内容かもしれないと思い、恐る恐るです。本質的に私が理解できていないところをご教示いただけるとありがたく存じます。

質問1:乾電池を直列につなぐと、直接つながっているプラス極とマイナス極は同じ電位になるにもかかわらず、異なる反応が進行するのはなぜなのでしょうか。酸化還元電位の異なる反応が自発的に進行しているにもかかわらず、同じ電位になるのはなぜか、という方が正しい質問かもしれません。

質問2:液々界面の研究などで4電極式セルを使う場合、よく2本のAg/AgCl電極間に電位を印加しますが、この「同じ電位であるはずの電極間に電位を印加できる」というのがよくわかりません。質問1と根本は同じと思いましたので、同時に質問しました。二つのAg/AgCl電極電位は、真空に対して同じ電位になっていると理解しています。キルヒホッフ則で、回路を一周すれば、プラスマイナスゼロになるので、かけた電位が観察したい液々界面にかかる、というのも何となく理解できます。ただ、どうしても「同じ電位を持つはずの電極間に電位が印加されている状態」というのが理解できません。一周分の電位図(と言えばよいのか、縦軸を電位、横軸をAg/AgCl①→電源→Ag/AgCl②→液相2→液相1→Ag/AgCl①の概念的な距離としたときの図)をどう描いてよいのか分かりません。回路だけを考えると、Ag/AgCl①とAg/AgCl②の縦軸位置が違うような図になるように思いますが、同じ電位にならなくてよいのか、と疑問に思います。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:52 (No.394033)
2019/09/04 14:00:47
pH 計測科学ラボラトリー 垣内 隆
台湾ポ討に覚える「不穏さ」*
今年(2019年)の第65回ポーラログラフィーおよび電気分析化学討論会は、台湾で開催される。私は、今回のポ討には参加しないことにした。討論主題とその説明文に強い違和感を覚えたからである。
討論主題は「アジアへ拡がる電気分析化学の真髄 ・・・ 副題:みんな仲ようしようや!」である。討論主題に応じて参加するかどうかを決める人はそう多くないと思われるので、この主題のことは、後で論じるとして、まず説明文について述べる。
ポ討を国外でやるのは、今回が初めてである。また、今回は「<STRONG>The International Joint Meeting of the Polarographic Society of Japan (PSJ) and National Taiwan University (NTU)</STRONG>」ということでもあるので、発表言語は「基本的に英語」、要旨も「英語」とされている。この様式にたじろぐ人もいるだろうという配慮からか、討論主題の説明文には、「1895 年から1945 年までは日本が統治していた」、「日本に親しみを感じる方も多く、日本語が通じる店舗、ホテル等も多い」、など当地の親日的雰囲気が述べられ、また、「会場となる知武館の高坂講義室および記念室は日本人科学者・高坂知武教授に由来する」など日本との縁が紹介されている。
しかし、これは、何?というのが違和感の第一の理由である。まず、この文章は、誰に対して書かれているのか?明らかに、日本人だけに対して書かれていると見る。今回のポ討が国際会議であるのなら、討論主題の説明文には、英文さらには中文もあってしかるべきである。しかし、ポーラログラフ学会ホームページの該当箇所にそれらは見当たらない。日本人以外の参加者を期待ないしは歓迎するのであれば、親日を語るのは意味をなさないのはもちろんである。
さらに問題なのは、書き手の目線である。50年にわたる植民地支配を「統治」という用語で済ませる不遜な態度を読み過ごすわけにはいかない。許せない、と思った。歴史を意識することなく無意識にそう書いたのであれば、その幼児的認識が自然・無意識に露呈して咎められない昨今の現代日本社会の怖さを思わずにはいられない。この討論主題説明文を英訳したとして、それを読んで参加したいと思う台湾あるいはそれ以外の外国の人がどれほどいるのだろうか。
「統治」という表現は言葉の綾、というかも知れない。では、次の場合を想定してはどうか。ポ討「島シリーズ」の一環として、済州島でのポ討開催は魅力である。台湾の場合とは期間は異なるもののかつては日本が朝鮮を「統治」していた。「日本語が通じる店舗、ホテル等」も少なからずあるので、討論主題の説明文には、今回と同じ文章も流用できそうである。しかし、この目線からの済州島ポ討は、たとえ開催は出来たとしても国際会議として格好が付くとは到底思えない。もし、「親日の台湾で行われる今回のポ討とは違うから」と思う人がいるとしたら、その人は、心の中に安っぽいのみならず空恐ろしい二重基準を抱いてしまっている。無論、これは科学的営みにおいては、あってはならない。
今回のポ討主題の説明文には、討論主題「アジアへ拡がる電気分析化学の真髄」の意味するところは何も書かれていない。これまた、あり得ない不思議さである。電気分析化学そのものは、アジアへ拡がって久しい。中国、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア等々から出される学術論文の数は、いまや相当なものである。日本発の論文数を圧倒していることは間違いない。この事情とは区別される、今とりわけ拡がっている、あるいは広げねばならない真髄というものがあるのであれば、それは何だという好奇心は大いにそそられるのであるが。
副題の「みんな仲ようしようや!」は、主題に謳われる「真髄」が何かを知る手がかりにはならない。「仲ようしようや!」という呼びかけは、仲良くない、あるいは仲良しの程度が十分ではないという認識があってのことであるはずだが、それが具体的にいかなるものであるかは、これまた明示されていない。
そもそも、「仲ようしようや!」というのは、学会・討論会のあり方としては、ピント外れも甚だしい。学会は、仲良しクラブではないことは言うまでもない[1]。それが年会として主催する討論会は、自らの意見、発見、知見を示して議論を戦わせる場である。批判は科学の前提である。その結果として、友達ができるかもしれないが、友達を失うことも大いにあり得る。かつてポ討で、ある先生の発表に対して、「初めからそういう研究はおやりにならない方が良かったのでは」というコメントがあって、驚愕しつつも感銘を受けたことを思い出す[1]。
それだけでなく、上記の歴史認識の下では、「みんな仲ようしようや!」という呼びかけは、過去の詳細かつ包括的な歴史的事実の確定とそれに基づく政策の実施を意図的系統的に回避ないしは放棄しておきながら、その一方で「仲よう」しないのは相手側に責任がある、と非難する現在の日本政府の傲岸不遜・のっぺりとした鉄面皮さと共鳴するとさえ思えるのである。この「不穏な」胸騒ぎがたんなる一老人の杞憂であるとも言いれないのが、今の時勢であるとみるのだが、どうであろうか。

___
* 本稿については、その原型を示してReview of Polarographyに掲載していただけるかどうかを、8月30日に同誌編集委員長の前田耕治先生にメールで伺った。「本会の研究振興のあり方に対する提言でありますので、掲載は可能であると思います。他の編集委員に了解を得たいと思いますので、しばらくお待ちください。」との連絡を同日、いただいた。9月1日にポ学会会長大堺利行先生から電話があり、意見を交換した後に、ポ誌掲載ではなく、ポ学会ホームページの掲示板に投稿することとなった。

参考文献
1.垣内隆,”電気分析化学の村”,<EM>Review of Polarography</EM>, .<STRONG>57</STRONG>, 91-91 (2011).
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管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:51 (No.394031)
2017/12/07 16:10:43
Tatsumi
これも混成電位?
E_chemistさんの記事を読んでいたら、ちょうど学部2年生がFe(II)+Ce(IV)の酸化還元滴定の質問に来ました。当量点前の酸化還元電位EがFe酸化還元対の濃度比、当量点後のEがCe酸化還元対の濃度比で決まるのが納得できないようです。答えとして、平衡状態では2つのNernst式がつねにイコールとおけるが、当量点前まではCe(IV)の濃度が「ゼロ」でCeのNernst式の対数項が「マイナス無限大」になり「計算できない」からFeのNernst式で、逆に当量点後はFe(II)の濃度が「ゼロ」でNernst式の対数項が「プラス無限大」になり「計算できない」からCeのNernst式で計算するんだ、と言ったら、引き下がってくれました。
この系では、2つの電極反応とバルクの酸化還元反応をすべて平衡と見なせるので、混成電位を考える必要はないと思いますが、2つの電位決定反応が1回の滴定中に切り換わっています。片方が計算できないからもう片方で計算しなさい、というのは、ちょっと説明不足かもしれません。もうちょっと気の利いた説明ができないものか、と思います。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:50 (No.394029)
2017/11/27 22:46:44
E_chemist
混成電位?_電極電位の支配因子
混成電位の定義:「界面を横切る電荷移動が起こり、2つ以上の電気化学反応が存在し、一般に平衡でないときに測定される電極電位」
 微量の「不純物」で、混成電位とは広義では確かにそうかもしれませんが、表現法に少しだけ違和感があるようにも思います。
 明確な電位決定反応がないとき(例として、題目の酸化体か還元体か一方かないとき)には、そのほかにstray capacitanceへの充放電(小さな電極で鞘が薄いと目立つ)[電荷に偏りがあり得るが、その電荷量は無限ではないので、その電位差も有限だから、電位はプラスマイナス無限にはならない]、さらに小さい系だと近くの壁面に電荷が不均一にあると電気浸透流による二重層容量の揺れ、半導体や酸化物(だけでなく本当はmetalでも=D. Kolbらの論文参照)の表面準位へのフェルミレベルピニングなども、そうした場合の電位決定因子ですね。決定といってもdetermineでなく「電位の浮遊する電位領域」への因子ですが。

 さて、Nernst式の適用範囲にもコメントしたい。E°からどこまで離れて成り立つのか? 「ただ一種類の電極反応だけが起こっている」なら「Nernst式が成り立つ」???  ずっと_どこまでも?

(例1) monolayer吸着量は高々10-9 mol/cm^2.&nbsp;&nbsp;この膜内で、酸化体と還元体の比が1:残り全部になる過電圧は? そこまで成り立ち得ないのは...平衡の意味、アンサンブル。では、2H2 + O2 = 2H2Oの平衡定数はいくら? 上の比と比べてみたい。またフェリシアンの全錯生成定数は? 成り立ち得ないといった範囲を超えているのではないか。でもこれらK値に意味があるのはなぜ? 地球上に1個対残り全部でも成り立ちそうな比なのに。平衡定数に比の意味があるというには限界がある?

(例2) 想像ではあるが、かつて、高名な電気化学者2名が、「Nernst式は、どんなにOx/Red比がゼロか無限大に偏っても成り立つ」と夢想し、それで考えたのが常温核融合だったのではないかと言われている。どこまでも成り立つなら、ずっとnegativeにすると、Pd格子にオクルージョンしたDは途轍もない圧力になると。
●限界を考えるときには気をつけないと... そもそもchemical potentialのaを巨大にしたりごく小さくしたらどういうことになるのか、...「新しい式の定義が出てきたら、変えられるパラメータを全て一つずつ、頭の中で極端まで大小振ってみなさい。無限大、ゼロ、正、負、...。 それが理解を深めるのですよ。」と教えられた学部1年生の熱力学の講義が思い出されます。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:49 (No.394026)
2017/10/20 14:30:46
KJA
電極電位の支配因子
溶液中に酸化還元物質が無いと思われるとき、電極電位は気が付かない不純物の平衡電位で決まると、その昔、教わりました。実験開始前に、まず平衡電位を測定する者にとって、昔の偉い人のお説教はチト経験と違うなあと思うことがあります。経験ではもう一つの支配因子があるようで。吸着種がすこしでもあれば、電荷とキャパシタンスの釣り合いから、電圧が発生するはずです。電気化学ではNernst式しか考えないから、電位の話はすべて酸化還元反応電位に押し付けてしまいます。「ここが難しい」part1を読んだ感想です。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:49 (No.394025)
2017/04/21 08:53:31
MJY
BBS継続します
皆様 BBSは現在の形で継続いたしますので,利用お願いします。討論会だけでなく,学生会員の議論とかにもお使い下さい。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:49 (No.394024)
Tatsumi in Miyako
ありがとうございました
KJA先生の講演で、Saito式の導き方がわかった、というよりも、斉藤さんがやったこと、すなわち条件に合う答えを積分の表から見つけてきた、ということがわかって、大変勉強になりました。ありがとうございました。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:49 (No.394023)
2016/09/20 15:50:46
Tatsumi
前は経過派、今は結果派
私は学生時代に理論が好きで、(実験をさぼって)電気化学の古い本ばっかり読んで、数式の「経過」から与えられる喜びに浸っていました。今は、雑事に追われて(なんでこんなに時間がないんだろう)すぐに「結果」を求めるようになってしまいました。
Saito式の中に円周率が入ってこないのに疑問をもって、学生時代に原著をあたってみましたが、その「経過」の部分はよくわからずじまいでした。ぜひこの機会にKJAさんかMJYさんにお話しいただければうれしいです。一般的にこの式は微小電極の定常電流の式、と捉えられていますが、定常か非定常かは測定時間のスケールの違いだけの問題で、円形の界面は電気化学測定で広く用いられているので、多くの人に関係する話題だと思います。
ちなみに斉藤さんの所属は製薬会社の三共でした。どのような「経過」で製薬会社の社員が微小円板電極近傍の物質移動の研究をし、それをポーラロ誌に投稿したのかは謎です。(千田先生に聞いとけばよかった。)
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:49 (No.394022)
2016/09/08 10:58:52
MJY
Re: 結果と経過のどちらが好き?
KJA様
 このあたりのことを討論会でお話いただきませんでしょうか?

>  結果を定量化するには数学が必要ですが、より大きな数学の効能は、論理の進展を知ったときの喜びを味わうことです。数学が必要かどうか問題にしていたら、喜びなどありえません。結果のずっと先にある喜びを夢見るからこそ、研究に命をかける力が湧いてきます。例として、以下をご覧ください。
>  微小円盤電極における拡散電流式I = 4FcDaをどのように導出するか、少々調べても見つからないと思います。種々の形状をしたコンデンサの容量を求めるのに、昔から、その形状に即した座標変換が開発されています。J. Newmanの単行本Electrochemical Systems中、溶液に円盤電極を入れたときの電気抵抗の節に、電位に関するLaplace式を特殊な座標変換で解く概略が出ています。微小電極の拡散電流は濃度に関するLaplace式を解いたものなので、その座標変換を使うと、I = 4FcDaが得られます。その座標変換はNewman以前に開発されたものです。Rev. Polarog. 15 (1968) 177で名高いSaitoさんは、I = 4FcDaの形になることを目指して、Laplace式を円筒座標で解こうと努力されました。Saitoさんの方法では、濃度分布(軸方向r、電極面に垂直方向z)が
> c = (以下を0から無限大まで積分)S(p) exp(-pz) J0(pr) dp
> と書けます(J0は0次のベッセル関数)。exp(-pz) J0(pr)は変数分離形から自然に導出されます。問題は何故S(p) = 2sin(ap)/(pi)p となったかです。S(p)の関数形は境界条件を満たしているから、これで間違いないのですが、何故sin(ap)や1/pが飛び出してきたのか、説明できません。つまり「導出」したのではなく。「当てた」のです。正確に言えば、定積分の表の中から、目的のものを探し当てたと思われます。探し当てたのは立派な業績です。しかし、関数形が天から降ってきたとしか答えようがないので、導出を他人に説明できません。だから、学生に導出を質問されても、教員は、できればいいでしょうと言って逃げるだけです。若い人は結果よりも、こんなに簡単な形になった道筋を知りたいはずです。それに答え、道筋を味わうのが数学です。
>  ついでながら、S(p)の導出を簡単に示します。sin(ap)を i[exp(iap) - exp(-iap)]/2と書くと、Laplace変換においてexp(-as)は0 &lt; r &lt; aにおいて元の関数を零にするシフト関数です。これを用いると、壁上(r > a, z=0)の濃度を規制せずに、電極表面(r &lt; a, z=0)濃度を零にできます。共役の指数関数を使うのは、ベッセル関数J0(pr)を複素積分するのに、共役形が必要だからです。一方、S(p)の分母にあるpは、べッセル関数が収束する(つまり有限の濃度が存在する)のに必要な留数を与える唯一の形です。この論法を逆に進めると、定数も含めてSの関数形が自然に導出できます。まもなく発刊されるJ. Electroanal. Chem. (2016)の”Voltammetry at a single nano-electrode by varying electrode diameters: Review”中のAppendixに導出の詳細が出ています。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:48 (No.394021)
2016/09/04 18:41:56
KJA
結果と経過のどちらが好き?
 結果を定量化するには数学が必要ですが、より大きな数学の効能は、論理の進展を知ったときの喜びを味わうことです。数学が必要かどうか問題にしていたら、喜びなどありえません。結果のずっと先にある喜びを夢見るからこそ、研究に命をかける力が湧いてきます。例として、以下をご覧ください。
 微小円盤電極における拡散電流式I = 4FcDaをどのように導出するか、少々調べても見つからないと思います。種々の形状をしたコンデンサの容量を求めるのに、昔から、その形状に即した座標変換が開発されています。J. Newmanの単行本Electrochemical Systems中、溶液に円盤電極を入れたときの電気抵抗の節に、電位に関するLaplace式を特殊な座標変換で解く概略が出ています。微小電極の拡散電流は濃度に関するLaplace式を解いたものなので、その座標変換を使うと、I = 4FcDaが得られます。その座標変換はNewman以前に開発されたものです。Rev. Polarog. 15 (1968) 177で名高いSaitoさんは、I = 4FcDaの形になることを目指して、Laplace式を円筒座標で解こうと努力されました。Saitoさんの方法では、濃度分布(軸方向r、電極面に垂直方向z)が
c = (以下を0から無限大まで積分)S(p) exp(-pz) J0(pr) dp
と書けます(J0は0次のベッセル関数)。exp(-pz) J0(pr)は変数分離形から自然に導出されます。問題は何故S(p) = 2sin(ap)/(pi)p となったかです。S(p)の関数形は境界条件を満たしているから、これで間違いないのですが、何故sin(ap)や1/pが飛び出してきたのか、説明できません。つまり「導出」したのではなく。「当てた」のです。正確に言えば、定積分の表の中から、目的のものを探し当てたと思われます。探し当てたのは立派な業績です。しかし、関数形が天から降ってきたとしか答えようがないので、導出を他人に説明できません。だから、学生に導出を質問されても、教員は、できればいいでしょうと言って逃げるだけです。若い人は結果よりも、こんなに簡単な形になった道筋を知りたいはずです。それに答え、道筋を味わうのが数学です。
 ついでながら、S(p)の導出を簡単に示します。sin(ap)を i[exp(iap) - exp(-iap)]/2と書くと、Laplace変換においてexp(-as)は0 &lt; r &lt; aにおいて元の関数を零にするシフト関数です。これを用いると、壁上(r &gt; a, z=0)の濃度を規制せずに、電極表面(r &lt; a, z=0)濃度を零にできます。共役の指数関数を使うのは、ベッセル関数J0(pr)を複素積分するのに、共役形が必要だからです。一方、S(p)の分母にあるpは、べッセル関数が収束する(つまり有限の濃度が存在する)のに必要な留数を与える唯一の形です。この論法を逆に進めると、定数も含めてSの関数形が自然に導出できます。まもなく発刊されるJ. Electroanal. Chem. (2016)の”Voltammetry at a single nano-electrode by varying electrode diameters: Review”中のAppendixに導出の詳細が出ています。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:48 (No.394020)
2016/08/19 11:09:15
Tatsumi
傾きと切片
学生のポテンショメトリーの実験レポートで、電極電位が濃度の対数に「比例」した、と書いてくるのが毎年のように見受けられ、困ります。
日本人だけの(つまり言葉の)問題かというとそうでもありません。外国人の論文を査読していたとき、CVのピーク電流の掃引速度依存性で、明らかに切片があるのに「propotional」と書いてあったので、切片の意味を説明せよ、と審査意見を送りました。そしたら、充電電流がきちんと引けてない、とまぁ安易な回答だったので、今度は、掃引速度に比例する充電電流とその平方根に比例するファラデー電流が足しあわされてるのなら、掃引速度依存性は直線関係にならないはずだ、とちょっと意地悪な審査意見を送ったら、最後にはデータが差し替えられてきました(苦笑)。
ベースラインを無視して変化にのみ目が行くのは、何か本質的な人間の心理かもしれません。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:47 (No.394019)
2016/07/09 13:16:21
KJA
からかい:でも本当
「電気化学と数学」より「電気化学と算数」に変えたほうが現実的ではないでしょうか。CVのピーク電流が電位掃引速度に切片のある一次関係でも、拡散律速だと主張する人が大勢いるのが現実です。つまり小学6年生の算数の問題
「縦の長さが3cm、横の長さがx cmの長方形のまわりの長さy cm」は比例関係かどうか答えよ、に間違う電気化学者が多いのです。
中学の数学の一次関数の応用では、一次関数の傾きと切片の意味を問います。我が討論会では、傾きと切片を問わない人が沢山いますよね。中学の数学は落第です。つまり、「算数」とするのが適切です。討論会の際、傾きと切片の意味に関して質問し、答えられない人には、ポスター講演に中程度のボルドーワインか同等のビールを出してもらったらいかがでしょうか。
返信
管理者による転記さん (8a0n47ge)2022/3/31 18:47 (No.394016)
2016/06/01 12:02:49
MJY
話題提供者3
電気化学と分光についてその数学も含めてお話くださるとうれしいですね。樋上先生と西先生ですかね?
返信